【弁護士解説】仮差押えに必要な担保の負担を軽減する方法とは? ― 支払保証委託契約(ボンド)による立担保⑴
1.債権回収の最大の敵は「時間のロス」
債権回収で最も大きなリスクは、時間の経過によって債務者の財産が失われてしまうことです。
任意交渉や示談がまとまらない場合、通常は訴訟に進みますが、判決が確定するまでには1年以上かかることも珍しくありません。その間に債務者が財産を隠したり、処分してしまうと、たとえ勝訴判決を得ても、実際にお金を回収できないという事態が生じる可能性があります。
2.仮差押えは債権保全の強力な手段
このような事態を防ぐために活用されるのが、「仮差押え」という法的手続です。
仮差押えを行うことで、以下のような財産を一時的に凍結することが可能です:
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不動産(土地・建物)
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預貯金口座
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売掛金・貸付金などの債権
債務者が財産を処分できなくなるため、将来の強制執行による回収可能性を現実化する重要な手段となります。
また、副次的効果として、事実上、債務者との和解を促進する機能もあります。
3.仮差押えには「担保金」が必要
ただし、仮差押えにあたっては、通常、担保金の供託が求められます。
これは、仮差押えが違法ないし不当であった場合に、債務者に生じる損害をカバーするための制度です。
担保金の目安:
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仮差押えする財産の 10~30%相当額
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例:1億円の預金を仮差押え → 1,000万~3,000万円の担保金が必要
そして問題なのは、この供託した担保金は、勝訴判決を得たり、和解が成立するなどの事由が生じるまで、基本的に取り戻せないという点です。つまり、債権者は高額の現金を長期間拘束されることになり、資金繰りに大きな影響を与えかねません。
4.担保の負担を軽減する「支払保証委託契約」とは?
このような担保金の負担を軽減する有効な手段として、「支払保証委託契約」の活用が考えられます。
支払保証委託契約による担保の提供:
債権者が、現金を供託する代わりに、裁判所の許可を得て、銀行や保険会社と支払保証委託契約を締結し、これを担保とする制度です。なお、支払保証委託契約の締結にあたっては、担保額(保証額)に対し数パーセントの保証料の支払いが必要となります。
メリット:
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高額な現金の供託が不要
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拘束される資金を他の用途に活用可能
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必要な保証料は担保額(保証額)に対して数パーセント
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資金流動性の確保につながる
特に、高額債権回収に伴う高額な財産に対する仮差押えを行う場合には、資金効率の面で非常に優れた選択肢と言えるでしょう。
まとめ|高額債権回収にあたっては、支払保証委託契約の活用を検討
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仮差押えは債権回収において非常に有効な手段
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しかし、担保金の供託が大きなハードルとなることも
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「支払保証委託契約」によって、現金供託の代替が可能
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特に高額債権の回収には、実務上も非常に有効な手段
次回予告
次回の法律コラムでは、「支払保証委託契約による立担保」の具体的な手続きの流れについて、解説いたします。